【批評】「完成された美」を手放した身体 ― ANRI「What a day!!」

芸能人ANRI What a day!! tek00085

AV女優の身体は、徹底的に管理され演出された「商品」である。話題先行で世に出た本作の極端な賛否は、その前提を逆説的に照らし出す。

賛否が極端に割れる、その理由

本作の評価は、絶賛と酷評にくっきり二分される。芸能人としての話題性で世に出たデビュー作だが、多くの辛口は「元芸能人を抜けば、ただのB級」「身体のケアが行き届いていない」と容赦ない。だがこの分裂は、被写体個人の問題というより、観客がAV女優に何を期待しているかを露わにする。私たちは普段、徹底的に手入れされ演出された身体を「当たり前」として観ている。その前提が外れたとき、人は戸惑い、評価が割れる。

「素の生々しさ」という別の価値

一方で、本作を擁護する声も確かにある。「作られた完成美が嫌いだから逆に新鮮」「知り合いを見ているようだ」——管理された美を脱臼させた本作は、図らずも、AVが何を商品化してきたのかを観客に問い返す。記者会見風のインタビューから始まる構成も、話題性を逆手に取った企画意図が見える。

惜しい点 ― 話題性に寄りかかった企画

批評として一点。本作の弱さは、被写体個人ではなく、企画が「元芸能人」という話題性に寄りかかりすぎた構造にある。コンディションの作り込みや演出で支える設計が乏しく、被写体を生身のまま市場に放り出してしまった。話題は初速を生むが、作品の強度は別の場所で作らねばならない——本作はその教訓を、極端なかたちで示している。

総評

抜くための一本としては評価が大きく割れる。だが「AV女優の身体とは何か」「私たちは何を観ているのか」を考えさせる資料としては、稀有な一本だ。完成された美ではなく、その前提が外れた瞬間の戸惑いごと、記録として観るなら意味がある。

女優
ANRI
メーカー
MUTEKI
レーベル
MUTEKI
品番
TEK-085
発売日
2016-10-01
収録
173分
評価
★★★☆☆ (平均2.73 / レビュー546件)
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